【ネタバレ感想】映画『ヘレディタリー 継承』から学ぶ人生(レビュー・解説)
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ヘレディタリー、それは遺伝性や先祖代々の~という意。
どん
『ヘレディタリー 継承』
作品情報
スタッフ・キャスト
スタッフ
監督 アリ・アスター
製作 ケビン・フレイクス
ラース・クヌードセン
バディ・パトリック
製作総指揮 ライアン・クレストン(以上、映画.comより)
キャスト
トニ・コレット アニー・グラハム
アレックス・ウルフ ピーター・グラハム
ミリー・シャピロ チャーリー・グラハム
アン・ダウド ジョーン
ガブリエル・バーン スティーブ・グラハム(以上、映画.comより)
解説・あらすじ
家長である祖母の死をきっかけに、さまざまな恐怖に見舞われる一家を描いたホラー。祖母エレンが亡くなったグラハム家。過去のある出来事により、母に対して愛憎交じりの感情を持ってた娘のアニーも、夫、2人の子どもたちとともに淡々と葬儀を執り行った。祖母が亡くなった喪失感を乗り越えようとするグラハム家に奇妙な出来事が頻発。最悪な事態に陥った一家は修復不能なまでに崩壊してしまうが、亡くなったエレンの遺品が収められた箱に「私を憎まないで」と書かれたメモが挟まれていた。
(以上、映画.comより)
予告
まえおき
『ヘレディタリー 継承』は、公開初日に鑑賞したんですけど、コミコンやら飲み会で忙しくて全然感想を書く暇がなくて、公開日からちょいと日数が経過してしまった状態で記事をアップしたところでいつも以上に読まれない可能性大ですから、本来なら感想書かないところなんですが…
「あ〜感想をアウトプットしてぇ…(ムズムズ)」という衝動に駆られる作品だったので、結局書いちゃってます……コッ
少なくとも今年公開したホラー映画『死霊館のシスター』よりかは語ることいっぱいあんのよねぇ…コッ
さあ、というわけで、早速感想に入っていきたいと思います!コッ!
ネタバレ感想
「あなな受け継ぎなさい。」
「いやッ、嫌だよ。」
「拒否権ないから。」
「…コッ」
・・・ミニチュア模型の中にいる人形でしかないグラハラム家たちの行く末に戦慄。
とても救いようのないお話だったけど "ホラーとコメディは紙一重" な部分もあってバラエティ豊富な映画でした!…コッ
ってのが大まかな感想で
以降は細かい感想やら考察!
冒頭から暗示されるグラハム家の行く末
物語冒頭、映画はミニチュアアーティスである主人公のアトリエから始まり、スクリーンには窓から見えるツリーハウスが映ります。(ここで、窓枠にハエがいるんですが、それは後の展開を暗示してるかもね)
そしてカメラがゆ〜くり動き始めるとアトリエ内にあるミニチュアハウスが映り、それにどんどん近づいて行くと、シームレスに本当の部屋に移り変わるっていう面白い感じの映像になっています。
この演出については、映画.comの記事とかにも書かれてる話なんですけど、要するにグラハム家の人間はミニチュアハウス内にいる人形でしかなくて、全ては悪魔だったりそれを崇拝する者たちの手中に収まってますよ〜。ってことですよね。
ミニチュアハウスからシームレスに本物の部屋になるとき、「その部屋にいたのは誰なのか」ってのを考えても面白いです。
あと、家の作りが基本的に開放感ある開けた作りになってるんですけど、どことなくミニチュアハウスっぽい感じになっていて、個人的には「いま映ってるのは本当の家。でもミニチュアハウスっぽい。でもそこにいるのは生きた人間…あああ」と錯乱する感じがあって良かったです。
チャーリーは最初から悪魔に…コッ
彼女が一番最初にいる場所ってどこかと言うとツリーハウスなんですよね。
それって前述したことを考えるとミニチュアハウスの外にいるってことなので、手中に収まってるグラハム家とは既に "違う存在" になっているという暗示のように思えました。
そして、意味ありげだなぁと思えるポイントがまだありまして、ツリーハウスは凍える寒さなのにチャーリーはヒーター無しで寝てるんですよね。でも母親のアニーがツリーハウスで寝るときはヒーターをガンガンつけてるんすよ…。
そのことを考えると、悪魔が憑依してると寒くないのかな…って思っちゃいましたw
だから終盤で全裸の人が数人出てくると思いますけど、彼らも実は何人か憑依されてるから寒くねえんじゃね?って思ってしまったw
まあ、バカの勝手な解釈なんであてにしないでください。
・・・っていうか、チャーリーの話が1番したいんだよ!(笑)
顔よ顔!なーにあの感じ…。
まずさ、クマとは違うんだけど目から1.5センチ下ぐらいにちょっとしたくぼみがあって、それがあんまり見るものじゃないから凄い異質感出てんだよねぇ…。
このねえ、演技とか一旦置いといて、子供の顔一発で恐怖を叩きつけてくる感じ?これは本当キャスティングした人に賞賛をおくりたいですね…。
だってホラー映画で子役が怖い映画なんてたくさんありますけど、だいたい『ペットセメタリー』や『オーメン666』しかり、基本的には可愛らしい顔の子役を使って、子役自身の演技で怖さを助長させてるのが多いと思うんですよ。
でも、チャーリーを演じたミリー・ジャピロちゃんは、本来 笑顔の素敵な可愛らしい子なんですけど・・・
正直言ってしまうと、100人がみて100人が可愛いと言うルックスではないと思うんですよ…。そこを恐れずにキャスティングしてくるってのは、超切り込んでるというか勇気ある決断だと思いますよ、俺はね。
っていうか、顔以外も良いんですよ!
もうねぇ…佇まいやら衣装やら演技やら全てが良い!
個人的にゾゾゾっとするディティールを1つ紹介すると、すんげぇ細かいですけど、チャーリーはちょっと大きめのパーカーを着てまして、フードと肩部分の縫い目のせいかやたら なで肩に見えるんですよ。そんで首も超長く見えんの・・・それがめっちゃ良い。怖い…
だから衣装さんにも賞賛をお届けしたいですね。
あ、もちろんミリー・ジャピロちゃんにもね!……コッ!
彼女の "心ここにあらず演技" めちゃんこ上手で、彼女がスクリーンに映ってるだけで面白いんですよ。そんなこともあって、この映画は彼女がいろんな問題を引き起こすと思った方が多いと思いますけど、まさかねぇ......コッ!
鳩の生首って重要なのか??
今作で誰もがギョッとしたであろうチャーリーの奇行「鳩のヘッドオフ」。
あそこの一連の流れで1つ気になる事がありました。
それはチャーリーのリアクションです。
鳩が窓に激突したとき、みんなビクってするのに彼女だけノーリアクションなんですよ。先生に後ろから話しかけられた時はビクってするのに。
まず、ビクっていうリアクションは、予期しない事がおきたらビクっとなるわけですよね?
実際アクション映画で、人込みの中に紛れた暗殺者を見つけ出す方法として、爆発を起こして「爆発になれてるが故、少しの爆発ではリアクションが薄い奴」がいたらそいつを暗殺者と判別するっていうシーンがあるぐらいですし(『泣く男』でやってた気がする)。
ちょっと自分でもなんでアクション映画出してきたのか分かんなくてゾッとするんですが、とにかく、ハトが激突してもリアクションしないあたりが、まるでハトが来ると最初っから予期していたかのように見えるんですね?
そんでハトが激突した瞬間、チャーリーは窓なんか見ずにすぐさまハサミを見るんですよ。
つまり、鳩が突っ込んでくること分かってたうえに、最初っから首をちょん切る気満々だったかのように見えるんです…。
ということは鳩ってなんか重要なのか?と思い調べたところ、、、
どうやら「鳩のしるし」ってのがあって、それは聖霊を証(あかし)するもので、それがあると悪魔が来れなくなるらしいです。
ってことで、悪魔を降臨させるために神聖な鳩の頭をヘッドオフする必要があったのかー??と俺は勝手に解釈しました。
ち・な・み・に、最後の儀式が行われるツリーハウス内では鳩が飛んでました。それは「イエーイ!精霊の証である鳩のとなりで悪魔降臨しちゃいましたイエーイ!」みたいな感じで神に対するイヤミというか、神への冒涜を表現していたのでしょうか…。
なにかと印象的に登場する「生首」
今作を見てて、ほんと生首のゴリ押しハンパねぇな…と思ったんですけど、やっぱそれには意味がありますよねぇ…
前述した鳩を除けば三人の女性(チャーリー、婆ちゃん、アニー)が断頭されますよね?
最初は三つの生首ということで、三位一体を拒絶してることを表現しているのか?と思ったんですよ。
でもねぇ、、、皆さん気付きました?婆ちゃんの本に描かれていたペイモンの絵に、女性とおぼしき三つの生首がラクダにぶら下っていたことに。
そんで、どうもペイモンってのは現れるとき、顔は女性、体は男性の姿で現れるらしいんですよ。その設定を踏まえて女性の頭だけが切断されていたのかなぁと個人的には思いました。
一応、男のマネキンにチャーリーの頭が置いてあったのもそういうことだったりすんのかな?と思ったり思わなかったり。
っていうか、チャーリーの首がおさらばするくだり…。
なんで高校生のパーティーにそんな幼い子を行かせたいの?とか、なんで電柱をそんな意味ありげに映すの?とか、なんで電柱に紋章が描かれてんの?とか色々な疑問点があったんですけど、「ああ、これも導かれてたというか決まってたことなのね…。」っていう…。
もう、もがきながら窓開け始めた時点で「あっ、ちょっちょちょ、あぶねーって、えぇえ!?」ってなりましたからねーww
ぜひね、お子さんをお持ちの方はこの映画を子供に見せてあげてください。絶対に車の窓から身を乗り出すなんてことしなくなりますから。そういった意味では、いい教育映画ですわ。
ラストに集約された分かりやすい恐怖演出
ちょっと久しぶりに考察したら疲れたので、あとは好き放題 怖かったところをあげていきたいと思います。
といっても、俺の好きな恐怖演出はラストに集約されてました。
あ、その前に一個だけ語りたいのが、お父さんがバーニングオンするくだり。
あれ観客全員の心が一致した瞬間だと思うんですよね。みんなこう思ったと思うんですよ。
いやっ、お前が燃えんのかぁぁぁぁっい!
って。
あんなの完全に「緊張と緩和」じゃないですか。M1でも見てんのかと思いましたよ。
っていう話は置いといて、話を戻します。
前述したとおり、好きな恐怖演出は最後に集約されてるんですけど、まず1番最初はアニーが壁に張り付いてるシーンですかね。
あれ、「ポゼッション(憑依)系では絶対にやらないといけない行動なの?もう見飽きたよ…」と思うんですが、良いなぁという部分もありまして、観客は恐ろしい何かがいることに気づいてるんだけど、主人公はそれに気づいてないっていう人物配置・画面構成が好きなんですよね俺…。
あのシーンは完全にそれでした。
「うわっ!後ろにいるって!気づけ!」となるけど、観客は傍観することしか出来ないってことを1番感じさせる、映画の特性を活かしたホラー演出なんで大好きですね。
で、父の焼死体を見つけたピーターは絶句しながらあたりを見渡すと…なんと室内に裸の人間が佇んでいるっていうね…。
おれ、"暗闇の中で裸の人間がたたずんでいる" っていう恐怖演出好きなんですよ…。
なんだろう、不可解過ぎて怖くないすか?マッチョが佇んでいたら笑うけど、ガリガリとかだらしない裸体が暗闇にいたら怖いですよ。
あと個人的に思ってることですが、"暗闇の中で裸の人間がたたずんでいる" という恐怖演出は、ホラー映画のお決まり恐怖演出になってきてるような気がします。
思い返してみると『ヴィジット』でも『テイキング・オブ・デボラ・ローガン』でもそんなシーンがあります。
はい。
裸の人間いんじゃん!なになに!と思ってると、今度はすぐさま「母と子の鬼ごっこ」が展開します。
これよかったですわ〜www
しかもこれはあくまで想像だけど、劇中での母子関係を見た感じ、多分あの鬼ごっこは、母と子が初めてした「鬼ごっこ」だと思うんですよね…。
ハイハイ出来るようになった赤ちゃんに対して「ハイハイ鬼ごっこ」すると運動機能を向上させる効果があるって聞いたことありますし、だいたいの家庭は子供と鬼ごっこしたことあるんじゃないですか?
まあどちらにせよ、多分アニーとピーターはやってないでしょ。そう考えると初めての鬼ごっこがリアル鬼ごっこでした…って悲しくて悲しくてしょうがなくないですか?(笑)
で、で、で、鬼ごっこが終わったら今度は「地獄の土下座ノック」ですよ…。
ついでなんで三浦大知の『Knock Knock Knock』という曲を貼っておきますね。
話を戻しますが、俺は母ちゃんがよくノックしないで部屋に入ってきてたのでしょっちゅうブチギレてたんですけど、とはいえあんなノックだけはされたくないですね。
ちなみに "ホラーとコメディは紙一重" なんてよく言いますけど、あの土下座ノックは若干コメディに行ってるというかやり過ぎ・・・って感じがしました。でも個人的にはサム・ライミのどっちかといえばコメディよりの恐怖演出っぽくて好きですね(笑)
さて、迫り来る母から逃走し屋根裏に隠れたピーターですが、どうやって入ったのかそこにはギーコギーコギーコとセルフ断頭する母がいました・・・っていう展開になるんですが…
あーいうゴア描写苦手(笑)
結構ゴア描写には耐性がある方なんですけど、あんな感じでジワジワと攻めてくんの勘弁してほしいですね…。ただ、意外と首が落ちる描写は音だけなので意外とマイルドな見せ方してたんでまだよかったです。
以上、おれが楽しんだ恐怖演出でしたー。
おわりに
なんかTwitterでそんなに面白くなかったとか、怖くなかった的な意見をそこそこ目にしましたけど、うーん…俺は結構ありだと思うんですよね〜。怖さの種類が多様で、なんで怖いのか分からないけど怖い・・・みたいな上手く言語化できない気持ち悪さが怖いと思うんですよねー。
そして、少なくともチャーリーをあそこまで強烈に描いて一生忘れないようなキャラクターにしただけで歴史に残る一作になってると思いますけどね…。ただ、その分彼女が迎える結末に対してちょっと微妙な気持ちにもなってしまうのも確かなんですけど。
まあそんな話は良いとして、実際、世の中には継承から抗えない人っているじゃないですか。歌舞伎とかとくにw
そんな人が今作を見たらどう思うのか気になります笑
Fin
こちらもよろしくです〜