【ネタバレ感想】実写化映画『いぬやしき』から学ぶ人生(レビュー・解説)
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『GANTZ』は読破してんだけどな〜
どん
『いぬやしき』
作品情報
スタッフ・キャスト
スタッフ
監督 佐藤信介
原作 奥浩哉
脚本 橋本裕志
製作 石原隆
市川南(以上、映画.comより)
キャスト
木梨憲武 犬屋敷壱郎
佐藤健 獅子神皓
本郷奏多 安堂直行
二階堂ふみ 渡辺しおん
三吉彩花 犬屋敷麻理(以上、映画.comより)
解説・あらすじ
「GANTZ」の奥浩哉による人気コミックで、テレビアニメ化もされた「いぬやしき」を、木梨憲武&佐藤健主演、「GANTZ」につづき奥作品の実写化を手がける佐藤信介のメガホンで映画化。
会社や家族から疎外されている、定年を目前に控えた初老のサラリーマン・犬屋敷壱郎。医者から末期がんによる余命宣告を受け、虚無感に襲われた犬屋敷は謎の事故に巻き込まれ、機械の体に生まれ変わる。犬屋敷と同じ事故に遭った高校生の獅子神皓も犬屋敷と同様に人間を超越した力を手に入れていた。自分に背く人々を傷つけるためにその力を行使する獅子神。獅子神によって傷つけられた人たちを救うためにその力を使う犬屋敷。強大な力を手に入れた2人の男たちのそれぞれの思いが激しく交錯していく。
犬屋敷役を木梨、獅子神役を佐藤が演じるほか、伊勢谷友介、斉藤由貴、本郷奏多、二階堂ふみらが出演。
(以上、映画.comより)
予告
ども
帰り道に「おいしい水」を買った、しーまんです。
『レディップレイヤーワン』でも書きましたが、いつもはどうでも良い前置きとか書いてるんだけど、ちょっと忙しいのですぐ感想に入りたいと思います。
それでは!
ネタバレ感想
強大な力を手にいれたお二人の話は想像以上におもしろかったよ?
なんだかなぁと思うことがあるのも事実だけど(笑)
あ、そうだ。
僕は、原作は1ページも読んでないんですけど 、アニメの方はちょくちょく見てました・・・ってことだけは先に言っておきます(笑)
というわけで、以下こまかい感想です。
印象に残った所・おもしろかった所〜
威厳ゼロ!生きる価値を見いだせてない男 その名も「いぬやしき」
念願のマイホームを購入しても子供達に日当たりが悪いだのどーのーこーの文句を言われ、犬を拾ってくれば妻に「捨ててこい」と一蹴され、職場では「給料泥棒」とまで呼ばれる威厳マイナス100ぐらいの男「犬屋敷壱郎」。
まぁ〜犬屋敷さんのエピソードが酷くてですね、見てて笑えないぐらい可哀想なんですよねw
だって、お腹が空いたと言う娘に「引っ越し祝いに奮発したものがあるからそれを食べよう」的なこと言うんだけど、弟が軽く言った「ロイヤルホスト」にあっさりと負けるんすよ!?(笑)
ここはまだ鼻で笑えるんだけど、洗濯物のくだりが笑えない…。
「お父さんと洗濯物を一緒にするな」とか「一番最初に風呂に入るな」といった可哀想な父あるあるって、『GTO』とかでも似たようなの見たことあるし、現実でもそういうことあるんだろうけど、いくらなんでも麻理ちゃんの言い方が酷いw
犬屋敷さんは以前にも言われたことがあるからか、下着は一緒に洗わないようにしてるらしいんですよ・・・それでも嫌なんだって。
可哀想すぎますマジで(笑)
そんな犬屋敷さん、職場にも居場所がないんですよね。
まあ見た感じ、仕事が出来なすぎる犬屋敷さんが悪いような気もするんだけど、それでも言われようが酷いですねカナリ…。
この見てて可哀想になる感じが、木梨憲武だからまだ見てられるんでしょうね恐らく。
もし、原作通りのヨボヨボおじいちゃんが 今作の犬屋敷を演じていたら、マジで見てらんないと思いますよ(笑)
(見てるとなぜか泣きそうになる笑顔・・・)
さてさて、可哀想でしょうがない犬屋敷さんは、ハナ子(ワンちゃん)を仕方なく捨てようとした際にたどり着いた公園で、光る飛来物の墜落に巻き込まれ、気付いたら機械の体になってしまいました。
それから彼は、怪我したハトを見つけたことがキッカケで自分に怪我や病気を治す能力…いや、機能があるということに気づき、病原菌をたくさん持ったハトに触れた手で植物状態の少年の顔をベタ〜っと触って病気を治します。
それによって生きてる実感を得た彼は患者を治しまくるようになるんですけど、そのくだり見たときに、、、意図せず道を譲ったときに感謝されたのが嬉しすぎて、永遠と道を譲るようになってしまう『浦安鉄筋家族』の「大鉄」を思い出しましたねwww(なんのこっちゃ)
話を戻します(笑)
えーっと、犬屋敷さんの描写は、限りある時間の中では割と丁寧に描いてた方じゃないかなとは思うんだけど、それでも「正義感と優しさはあるけど それを披露する勇気がない・・・という人間が力を手に入れた時にどうなるのか」っていう描写がちょっと足りないような気もするんですよぉ...。
せっかく、ビビってチンピラ退治出来ないって描写いれてるのに、力を得てから似た状況が訪れたらどうするのかとかないしね?
つーか、犬屋敷が悪人と戦うとき戦闘フォームはへなちょこなんだけど超強い!っていうシュールの極みのようなくだりは何故いれてくれないのだ(笑)
これって、最悪VFX無しでも出来る展開なので、コスパが良いと思うんですよw
人の病気をね、ハトの病原菌がベットリついた手で治すのもヒーローとして良いんだけど、上のGIFみたいなくだりこそ、ヒーロー映画っぽいから、個人的にはめっちゃ見たかったし、なんで入れなかったのか良くわかんねっす。
獅子神には警官相手に無双するって展開ありましたけど、人間相手に無双する獅子神(佐藤健)の姿はファンしか見たくないでしょ(笑)
おれはヨボヨボジジイが無双するっていう、あんま見た事ないフレッシュな映像の方が見たかったよ(笑)
まあでも、彼がヒューマノイドになってからはアメコミ映画を見てる気がして普通に楽しんでる自分もいたっちゃいましたけどね〜(笑)
正直アニメ版の『いぬやしき』の声を担当してる小日向文世の方が犬屋敷壱郎に適してるような気がするんだけども、木梨憲武ならどんな酷い目にあってもエンタメとして成立しそうだから、彼が演じた犬屋敷壱郎も普通にアリだとは思います。
優しさと狂気!?一言で言えばサイコパス男 その名も「獅子神皓」
日常を結構見せてくれた犬屋敷さんにたいして獅子神くんはですね、いつ登場するのかな〜 っと思ってたら公園のベンチにちゃっかり座ってました。
そして彼も犬屋敷さんと同じ機械の体になってしまいます。
で、彼が一番最初に機能を発揮するのが、ハトに対してなんですけど、実は犬屋敷さんも生物に対して初めて機能を発揮するのがハトなんですね。
そういう演出は常套手段かもしんないけど「命あるものを殺す者と救う者」という対照的な関係が一発で分かるので個人的には好感を持てましたね〜。
話変わりますけど、原作の『いぬやしき』って作者の奥浩哉さんが、自分の嫌いな人間を漫画の中で誇張させながら描いて、そして漫画の中でこれでもかってぐらい酷い目に合わして、自分でスッキリしてる感じがあるんですよ。(実際にスッキリしてるかは知らんw)
その点で言うと、犬屋敷ファミリーのカス具合とかもそれに当てはまるんだけど、獅子神パートでいうと「いじめっ子」ですね…。
今時あんないじめ方する人いる!?(笑)
まぁ誇張されてるからかいじめっ子たちのクズ度が高まってるので、獅子神くんに成敗された時のスカッと感はかなり良かったですけど…w
あと、いじめっ子たちのルックスが絶妙にブチャイクなのが逆にリアルでした(笑)
話を戻しますと、だいたい中盤だったかな?
獅子神の家族関係がある程度明らかになったころに、彼はサイコパス覚醒の第一歩となる「一家惨殺事件」を引き起こします。
流れとしては、母を捨てて別の幸せな家庭を築く父親を「ばん」しようとしたけど踏みとどまり、一時は帰ろうとしたその時、近くから聞こえてきた幸せな家庭の "声" を妬んだのか、まったく関係ないファミリーを「ばん、ばん、ばん」と惨殺し始めるって感じです。
あのくだりはね〜、正直なんだかな〜って感じでした…。
んー、、、分かんないですよ? 本当は彼にどういう意図があってあの家を選んだのか分かんないですよ?
でも少なからず僕は、幸せな声を妬んで殺すターゲットを決めたように見えたんですね。ようは "妬んだ" っていう "感情" が垣間見えたってことです。
その時点で僕の中で獅子神のサイコパス感が薄れたんすよね。
一家惨殺の件に関しては、アニメ版をそのまんまやった方が良いと思うんですよ。(ハード過ぎて無理なのかな・・・)
アニメだと獅子神は目隠しした状態で「フンフンフフ〜ン♪」とか言いながらクルクル回って、止まったとき目の前にあった家に「ただいま〜」と言って侵入し「ばん、ばん、ばん」します。
ようは殺せれば誰でも良いんです。そしてちょっと面白いのが、アニメ版の獅子神は犬屋敷とは真逆で、人が死ぬことによって生きてることを実感するんですよね。
そんな彼の無邪気とまで言える殺戮シーンが狂いすぎてて本当にサイコパス感ハンパないんです。(声担当の村上虹郎が下手なのか上手いのか分からん感じがまた良い)
その映画的にもカナリ面白くなるサイコパス要素を排除して、ただ妬んだだけのような描写にしたのは正直、、、「えーつまんな」と思ってしまいましたね~。
サイコパス人間って現実にいたらそりゃあ怖いですよ? でも映画内に出てくるとなるとそれは "恐怖" と言う名の "面白さ" に変わるのでガンガンやってほしいんですけどね...。
別に原作とかアニメ通りに作れとは言わないんだけど、あのくだりは原作通りにやった方が良いと思っちゃいますね〜、っていうか獅子神に魅力を持たせたいなら絶対にやるべきくだりだと思います(笑)
原作の獅子神ってサイコパスなんだけど・・・それでも人間を捨てきれてない一面があって、それに葛藤してたりするから 「ん?やっぱ根底に優しさはあるの?」っていう感じで何考えてるのかよく分からなかったりするんですよね。
だから逆に獅子神を理解しようと考えさせられるんで、魅力があるキャラになってると思うんですよ。
でも映画だとサイコパス感を無くして、ただ闇落ちして引き返せなくなった人みたいな描き方になってたから、獅子神 独特の「何考えてるのか分からない感」が減ってたし、葛藤も少ないから、真の意味で彼に寄り添えないというか、なんというか・・・惜しいなぁって感じ。
最後の方で獅子神がいうセリフ「俺が悪役でじじいがヒーローか」に取ってつけた感があったのは、思った以上に葛藤がないからなのかなぁと思ったり思わなかったり…。
もしアニメのサイコパス感とか葛藤が出てたらもっと凄い映画になっていた気がします。
アニメのくだりとか抜きにして、そもそも佐藤健の獅子神に終始サイコパス感たりないんだよな〜。(演技指導の問題かもしれないけど)
いやイかれてはいるんだけど・・・
「こ、こいつマジやべぇ、、、」
みたいな、映画的に面白いサイコパス感はさほど感じられなかったですね。
話し出すと止まんないんだけども、佐藤健の獅子神にサイコパス感が足りない理由はいくつか有ると思っていて、個人的な意見を一個あげると「ばん」が良くも悪くも普通過ぎるんだよね…。
なんつーかもっと無邪気な感じで「ばん」と言って欲しい。
そもそも手を銃の形にして「ばん」と言うって、マジで子供じみてるじゃないですか。
でも人は殺せるんですよ。
「子供じみてるのに殺傷能力はある」っていうシュールさがゾクッとして、面白いんだけど、佐藤健の「ばん」はただ無感情にしてるだけって感じがあって「うーーーーん、電王のときから応援してる健くん!なんか違うんだよねぇ、、ごめん」って思いましたwww
やっぱ "無感情" というより "無邪気" な感じの方が良いような気がしますね…。
シュールなロボ描写は凄い良かった!
「いぬやしき」のロボ描写の魅力って色々あると思うんだけど、1つ代表的なのをあげると "言葉に出来ないほどのシュールな絵づら"だと思うんですよね。
例えばさ、「手」という部位はガッツリ残った状態でウェポンが出てくる感じとか
めちゃくちゃシュールだよねwww
体の部位が丸々残った状態で機械が露出するデザインってのはあんま見たことないし、なんかダサカッコいい感じがあって個人的には凄い好きです。
そして、、、そこらへんを表現しているVFXは本当にバッチリだったと思います。
だからVFXまわりでは特に文句ないというか、むしろスゲェ!とまで思いました。
話を変えて、ラストバトルに関してなんですけど、あの空中戦はまあ盛り上がりますよね!!!普通にワクワクしました!!!
・・・でもごめんなさい、、、あそこも思うことあるんですよ…。
ロボじじい VS ロボ高校生 のガチバトルを最後に集約させてイッキにどーん!とそこそこの時間をかけて見せてくてれるのは良いんだけど、だったらもうちょっと両者の特徴的な個性、、、いや "心" が表れたバトルにして欲しかったです。
というのも、確かに映像としては迫力満点のことしてるんだけど、あの空中戦は言ってしまえば、ただ追いかけっこしてるだけだと思うんですよ。
「犬屋敷」と「獅子神」って身体に備わってる機能は同じなわけで、違うのは "心" なんですよね。
だったら何でもっと心の違いが見て取れる戦いをさせないんですかァァァァアア!!
獅子神は、犬屋敷を追いかけるとき無作為にミサイル撃ちまくったりするけど、そういうんじゃない…。
例えばさ、獅子神は最初の方で、体を指揮者のように動かしながら車を操作するシーンがあるじゃないですか。なんでそのくだりを活かさないのだ…。
犬屋敷が低空飛行した際に車を操作して、彼に激突させるとか出来るでしょ。
しかも、車を操作して犬屋敷と激突させるって、ようは運転手の命を微塵も気にしてないから出来ることなので、戦いの中で獅子神の性格を表すことが出来るわけですよ。
で、犬屋敷は獅子神が操作する車に乗る運転手を守りながら戦えば、彼の性格も戦いの中で表すことが出来るわけです。
そういうのあったらもっとアガるんだけどな〜。
車を操るシーンとか、ただ原作にあるから入れたってだけで特に活きてこないのは残念でした。
まぁでも、犬屋敷と獅子神って『NARUTO-ナルト-』でいうナルトとサスケで、「インド神話・仏教」でいう守護神アシュラと闘神インドラみたいなもんだと思うんですよね。
で、アシュラはインドラに負け続けるので、そういう点を踏まえて見ると犬屋敷は基本的に獅子神にボコられるんで、「まあ良いのかな〜」とも思っちゃうから難しいところですな(笑)
あ、そうだ。
犬屋敷が獅子神を倒して娘を救出したときに、娘に "男の背中" を見せて空を飛び始めたのには拍手したくなりました。
「なんだそれ…」って思った所どーしても言いたいから言わせてください(笑)
思わず笑っちゃった所が何個かあるんだけど、それを紹介させてください(笑)
まずさ、「ちょっこう(直行)」だっけ?
あいつ色々理解するの早すぎだろwww
犬屋敷にも「理解すんの早っ!!!」と思うこと何回かあったんだけど、忘れたから言わないとして、直行に関してはヒューマノイドの弱点を発見するまで2秒ぐらいでしたよ!?
スポーツドリンクを飲んだ犬屋敷が腕ゲロしてしまって「前も味噌汁飲んだ時こーなった」的な会話だけで・・・
チッコチッコ、チーン!!!
「塩分に弱いんじゃない?」
いや、はえーわ!!!!天才かテメー!!!
っていうね…(笑)
それと、特殊部隊のくだり…。
指名手配中の獅子神を泊めてあげてる「しおん」ちゃんの家に、特殊部隊が突入してるくだりがありますよね?
あれはもはやギャグなんだろうけど、突入する "過程" ってのをあそこまで見せない映画を初めて見ましたwww。
っていうか、"突入"じゃなくて "侵入" ですよねアレw
「思わず笑うって、こーいうことだな」と思ったシーンでした。
あと、個人的に笑ったのが、都庁で獅子神が犬屋敷をボッコボコにするくだり。
ボッコボコにされて頭パカーン状態になった犬屋敷さんは「まり、、、」とか言いながら近くにいる娘と手を繋ごうとするんすよ。
心が荒んだ僕はそのくだりを見て「そーいうの何回も見てるからいらねぇよ、、、」と思ってたんだけど、すかさず獅子神が「そーいうの寒いから・・・」って言うから
よく言ったァァァァァァアwww
って感じで笑っちゃいましたねw
他には、俺がバカなだけなんだけど、ヒューマノイドになると味覚音痴になるという設定の説明が「この味噌汁、味しなくない!?」だけなので、ラストバトルで獅子神が水だと思って飲んだのがスポーツドリンクでしたというくだりで「口に入れた時点で気づけよ」と思ってしまいました。
以上(笑)
『いぬやしき』から学ぶ人生
やっぱ一番大事なのは "心" をどう持つかなんだな〜。
終わりに
んー、、、なんか割と文句が多めになってしまったんですけど、一応言っておくと本当に楽しんだんですからね!?(笑)
楽しかったんだけど、アニメを見てると、なんであの要素入れなかったの?とか、どーしても色々と文句が出てきちゃうんですよね。
だから今作は、原作が好きな人ほどネガティブな感想を抱き、原作を知らない人ほどポジティブな感想を抱くような映画だったんじゃないかな〜と思います(実写化作品のほとんどが そうかもしれないけどw)
Fin
余談
ラストシーンの超個人的な要望。
ラストはですね、食卓をみんなで囲んで、最後に犬屋敷と娘が2人きりになって、奇跡の男について語るニュースを見て終了って感じなんですよね…。
どーせなら、、、最後は奇跡の男について語るニュースを見て娘と一緒にニヤっとして幕が下りるって感じにしてくれよォオ!!!!!